自費出版を初めて試みる人は、まず原稿を準備する必要があります。しかし極度に神経質になる必要はありません。自費出版は編集に厳しく手直しされることも、校正に誤植を指摘されることもありません。それは、自費出版の目的からして、文法の正しさや、文学的な言葉遣いを、さほど意識しなくても良いからです。もちろんフィクションであれば、それなりに文学的な知識が必要になるでしょうが、ビジネスの指南書、自伝といったジャンルで上梓するつもりなら、殊更気にすることはありません。

 では自費出版の原稿に求められるものとは何でしょうか。それは、自らの熱い想いと言えるでしょう。文学賞の受賞を目的にしているわけではないのですから、自費出版には競争という概念がありません。他人の作品の出来と比較する必要が無いのです。従って、自分の言葉で、自分の思いの丈をぶつければ、後は読者に委ねるだけでよいのです。文章を書くことに慣れていなければ、最初は筆が進まないはずです。それは誰しも書き手として経験することですから、心配しないで下さい。それよりも、マイペースを保ちながら、楽しみながら執筆することが大切です。気に入らなければ何度も書き直して構いません。商業出版のように、締め切りを気にすることもありません。

 このようにお話しすると、注意事項が全くないのだと誤解する方もいらっしゃいますが、出版する以上、最低限守るべきルールは存在します。一つは、オリジナルの文章であることです。著作権を侵害するような文章は絶対に許されません。二つには、他人の個人情報を晒してはならないということです。たとえ自伝であったとしても、そこに知人を登場させるのであれば、彼らの個人情報を掲載するわけにはいきません。